注文住宅を考え始めると、ハウスメーカーと工務店の違いが分からず、「どちらにするか」で迷う人が多いはずです。ところが、この2つを分ける法律上の定義はありません。どちらも建設業法の許可を受けて家を建てる会社で、呼び分けは業界の慣習です。

このページでは、国土交通省の資料と法令(建設業法・住宅品質確保法・住宅瑕疵担保履行法)で確認できることを土台にします。一般に言われる違いは「傾向」として整理し、そのうえで、社名の区分ではなく6つの確認項目で会社を比べる方法をまとめます。

先に結論

ハウスメーカーと工務店に法律上の区別はありません。どちらも建設業法の許可(国土交通大臣または都道府県知事)を受けて営業する建設業者です。新築住宅には、会社の規模に関係なく引き渡しから10年間の瑕疵担保責任があり、許可を受けた会社には保険加入か供託の義務があります。

よく言われる規模・工業化・施工エリア・設計の自由度の違いは、あくまで傾向です。比べるときは、①性能等級の証明書類、②保証と点検の条件、③補助金の登録事業者か、④施工エリア、⑤見積もりの範囲、⑥許可と経営情報、の6項目を同じ条件でそろえてください。

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法律上の区別はない。どちらも建設業許可を受けて建てる

国土交通省の説明では、建設工事の完成を請け負う営業をするには、公共工事か民間工事かを問わず、建設業法第3条にもとづく建設業の許可が必要です。注文住宅の建築もこれに当たります。法律に「ハウスメーカー」「工務店」という区分はなく、どちらも同じ許可制度の中で営業しています。

許可には次の区分があります。どれも会社の格付けではありません。

区分決まり方(国交省の説明)家づくりでの意味
国土交通大臣許可2つ以上の都道府県に営業所を置いて営業する営業所が複数の県にあるという意味。施工できる区域の制限ではない
都道府県知事許可1つの都道府県の中だけに営業所を置いて営業する知事許可の業者でも、施工は全国どこでもできると国交省は説明している
一般建設業・特定建設業元請として1件8,000万円以上(建築工事業の場合)の下請契約を結ぶかどうか下請に出す金額の規模の違いで、品質の区分ではない
業種29の工事の種類ごとに許可を受ける家1棟を元請けで請け負う工事は、一般に建築一式工事(建築工事業)に当たる
有効期間5年。更新しないと失効する期限が切れていないかを検索システムで確かめられる
⚠️ 許可がなくても請け負える規模がある

建築一式工事で1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事は「軽微な建設工事」とされ、これだけを請け負う会社は許可がなくても営業できます。フラット35利用者調査(2025年度)の注文住宅の住宅面積は全国平均118.4㎡なので、一般的な広さの木造住宅は、許可のない会社でも法律上は請け負えます。許可の有無は、後で見る保険や経営情報の確認にも関わります。

一般に言われる違いは傾向で、社名では決まらない

ハウスメーカーと工務店の違いとして、一般に次のような点が挙げられます。ただし、どれも会社ごとの差が大きく、割合や金額で線を引けるものではありません。表の右端の「確かめること」を見る方が、実際の差が分かります。

観点ハウスメーカーと呼ばれる会社の傾向工務店と呼ばれる会社の傾向確かめること
営業の範囲複数の都道府県に支店や展示場を持つ本店のある地域を中心に営業する建築地が施工エリアか。担当する支店や施工会社はどこか
つくり方部材の工場生産や仕様の規格化を進めている現場での施工が中心で、仕様は一棟ごとに決める構造・工法と、標準仕様の性能等級
設計の自由度商品ラインナップの範囲で選ぶ形が多い一棟ごとに設計する形が多いできない間取り・仕様の制約
価格の出し方商品ごとの価格帯にオプションを積み上げる仕様を決めてから見積もる見積もりに含まれる工事の範囲
保証・点検独自の長期保証制度を用意している会社ごとに内容の差が大きい法定10年の保険か供託か。独自保証の延長条件

社名も目安になりません。一条工務店は会社概要で、拠点を「沖縄県・高知県を除く全国約520拠点」と示しています。アイ工務店も公式サイトで全国47都道府県での展開を掲げています。反対に、全国ブランドでも各地の加盟店が建てる形の会社があります。たとえばユニバーサルホームは、会社概要の事業内容に「住宅施工販売のフランチャイズ加盟店の指導育成」を挙げています。この場合は、実際に工事を請け負う会社がどこかを確認し、その会社の許可や保証を見ます。

各社の構造・性能等級・保証・施工エリアは、公式サイトの記載だけでハウスメーカー各社の比較一覧に並べています。

比べるべき6つの確認項目と、確かめる場所

会社の呼び方より、次の6項目を同じ条件で並べる方が、実際の差が見えます。どれも国の制度や公的な検索システムで裏付けを取れる項目です。

確認項目見るポイント確かめる資料・窓口
1. 標準仕様の性能等級耐震・断熱・一次エネルギーの等級と、それを証明する書類が出るか住宅性能評価書、長期優良住宅の認定通知書など
2. 保証と点検法定10年の備えが保険か供託か。独自保証の年数と延長条件契約前の説明書面、保険証券、各社の保証規定
3. 補助金の登録事業者かみらいエコ住宅事業者か。GX志向型なら協力表明済みかみらいエコ住宅2026事業の事業者検索
4. 施工エリア建築地が対応エリアか。点検や修理の拠点はどこか各社の公式サイト、担当の支店
5. 見積もりの範囲本体工事・付帯工事・諸費用のどこまで含むか内訳のある見積書
6. 許可と経営情報許可番号・有効期間・業種、決算の数字建設業者検索システム、許可行政庁の閲覧所

以下、項目ごとに確かめ方を説明します。

ハウスメーカーと工務店を、同じ条件の資金計画で比べる

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確認項目1: 性能等級は証明書類が出るかまで聞く

耐震等級・断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級は、住宅品質確保法の住宅性能表示制度で決められた共通の物差しです。国が定めたルールにもとづき、登録住宅性能評価機関が評価します。新築の評価書には、設計段階の図書審査による「設計住宅性能評価書」と、施工段階と完成段階の検査による「建設住宅性能評価書」があります。

国土交通省の発表では、令和7年度に設計住宅性能評価書が交付された一戸建ての住宅は139,383戸でした。共同住宅等を含む全体では、新設住宅着工戸数に対する交付割合が40.7%です。評価書は申請して初めて出るもので、すべての新築住宅にあるわけではありません。カタログの「等級○相当」は、評価書を取っていない自社計算による表記の場合があります。

証明書類があるかどうかは、お金にも直結します。

面談では「標準仕様で評価書(または長期優良住宅の認定)を取りますか。その費用は見積もりに入っていますか」と聞くと、各社を同じ土俵で比べられます。区分ごとの基準と優遇の違いは性能区分(GX志向型・長期優良・ZEH水準)の比較表にまとめています。

確認項目2: 保証は法律の10年と会社独自の保証を分けて見る

家を新築する工事の請負人は、住宅品質確保法により、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、引き渡しから10年間の担保責任を負います(第94条)。これはハウスメーカーでも工務店でも同じで、注文者に不利な特約は無効です。契約で20年以内まで延ばすこともできます(第97条)。

会社が倒産して補修できない場合に備える法律が、住宅瑕疵担保履行法です。国土交通省の説明では、新築住宅を供給する建設業者と宅建業者には、「保険への加入」か「保証金の供託」のどちらかが義務付けられています。

📝 許可のない会社に頼むときの確認

住宅瑕疵担保履行法で保険か供託が義務付けられる「建設業者」は、建設業法の許可を受けた会社を指します(履行法第2条、建設業法第2条)。許可のない会社に頼む場合も10年の担保責任は住宅品質確保法で負いますが、瑕疵保険に入るかどうかは契約前に確かめてください。

法律の10年とは別に、会社によっては独自の長期保証を用意しています。年数だけでなく、保証を続けるための条件(点検の受診や有償メンテナンス)を比べることが大切です。各社の公式サイトでは、次のように書かれています(2026年9月26日確認)。

会社公式サイトの保証条件として書かれていること
積水ハウス初期30年保証10年点検・20年点検の受検と、会社が必要と判断した補修工事(無償)の実施
三井ホーム基礎・構造躯体を最長60年保証10年ごとの点検と、所定の有料メンテナンス工事の実施
タマホーム構造躯体・防水の20年保証20年を超える延長は、定期点検と必要に応じた有償メンテナンス工事
アイ工務店防蟻を含む初期30年保証(構造躯体・防水・防蟻は最長70年の長期保証システムあり)初期30年は、30年目までのすべての定期点検の受診。70年までの延長は、30年目以降に会社が必要と判断した有償メンテナンス工事も前提
スウェーデンハウス基本の10年保証(延長で20年)20年にするには、10年目の有償点検と会社が必要とする有償メンテナンス工事

同じ「初期30年」でも、途中の点検を受けないと保証が続かない場合があります。保証規定のひな形を契約前にもらい、点検の時期と、補修費用が無償か有償かを確認しておくと比べやすくなります。

確認項目3〜5: 補助金の登録・施工エリア・見積もりの範囲

3. 補助金の登録事業者か

みらいエコ住宅2026事業の補助は、「みらいエコ住宅事業者」と工事請負契約を結んで建てる住宅が対象です。登録事業者は、建築主に代わって交付申請などの手続きをし、受け取った補助金を建築主に還元します。登録していない会社で建てると、性能を満たしていてもこの補助は受けられません。

対象と金額の詳細はみらいエコ住宅2026事業の解説にまとめています。

4. 施工エリア

大臣許可か知事許可かは営業所の場所で決まり、施工できる区域の制限ではありません。施工エリアは会社が自分で決めています。大手でも全国一律とは限らず、公式サイトには次のような記載があります。

地域の工務店では、本店から建築地までの距離で対応を決めていることがあります。引き渡し後の点検や不具合の連絡を受ける拠点がどこかも、あわせて確認してください。

5. 見積もりの範囲

「坪単価」や「本体価格」に何が入るかは、会社ごとに決め方が違います。一般に、本体工事とは別に、地盤改良・給排水の引き込み・外構などの付帯工事や、登記・ローン手数料・火災保険などの諸費用がかかります。これらが見積もりに入っているかどうかで、総額の見え方が変わります。

建設業法第20条では、建設業者は材料費・労務費などの内訳を書いた見積書をつくるよう努め、注文者から請求があれば、契約が成立するまでに交付しなければならないとされています。内訳のある見積書を各社からもらい、同じ項目で並べてください。

参考として、フラット35利用者調査(2025年度)の注文住宅(土地の購入なし)は、建設費の全国平均が4,259.8万円、住宅面積の平均が118.4㎡です。坪単価に直すと、4,259.8万円÷(118.4㎡÷3.30579)=約118.9万円になります(1坪=3.30579㎡で換算)。この建設費は利用者の申告にもとづく数字で、会社の見積もりと範囲が同じとは限らないので、目安として使ってください。都道府県ごとの数字は都道府県別の相場、自分の条件の総額は総額シミュレーターで確かめられます。

確認項目6: 許可と経営情報は国の検索システムと閲覧所で確かめる

建設業の許可は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で誰でも確認できます。国交省は、許可業者の許可の状況を常時確認できるシステムとして案内しています。

  1. 会社名で検索する

    メニューから「建設業者」を選び、商号を入力します。株式会社などを除いた名称で入れます。グループ会社や地域の会社が別の許可を持っていることがあるので、契約の相手になる会社を選びます。

  2. 許可番号・有効期間・業種を見る

    詳細画面では、許可番号(国土交通大臣許可か知事許可か)、許可の有効期間、許可を受けた業種(建築工事業は「建」)と一般・特定の別が分かります。

  3. 資本金と社会保険の加入状況を見る

    資本金額や、建設業以外の兼業の有無も表示されます。健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況は大臣許可業者から先に掲載されていて、過去の許可申請の際の確認結果であり現在の状況を保証するものではない、と注記されています。

  4. 決算の数字は閲覧所で見る

    建設業者は、毎事業年度が終わってから4か月以内に、工事経歴書や財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)を許可行政庁に届け出ます(建設業法第11条、施行規則第10条)。これらの書類は、許可行政庁の閲覧所で誰でも閲覧できます(建設業法第13条、施行規則第12条)。閲覧の方法は許可行政庁ごとに違うので、国交省の許可行政庁一覧から問い合わせます。

  5. 上場会社は有価証券報告書も読む

    上場している会社は、金融庁のEDINETで有価証券報告書を読めます。

検索システムの掲載情報は、建設業者については月2回更新されています。更新のタイミングによっては実際の情報とずれることがあると注記されているので、気になる点は会社に直接確認してください。なお、建設業者には、店舗と工事現場に許可の標識を掲げる義務もあります(建設業法第40条)。店舗や工事現場の標識で許可番号を控えておくと、検索がすぐにできます。

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よくある質問

ハウスメーカーと工務店は法律で区別されていますか?
区別されていません。どちらも建設業法の許可を受けて営業する建設業者で、呼び分けは業界の慣習です。国土交通大臣許可か都道府県知事許可かは、営業所が複数の都道府県にあるかどうかの違いで、会社の格付けではありません。
工務店は保証が弱いのですか?
建設業の許可を受けた会社であれば、新築住宅の10年間の瑕疵担保責任と、保険加入か供託の義務は、規模に関係なく同じです。差が出るのは会社独自の保証で、年数と延長の条件(点検の受診や有償メンテナンス)は会社ごとに違います。保証規定のひな形で比べてください。
知事許可の工務店は県外で家を建てられませんか?
国土交通省の説明では、大臣許可と知事許可の違いは営業所の所在地によるもので、施工できる区域に制限はありません。実際の施工エリアは会社が決めているので、建築地が対象かどうかを会社に確認してください。
工務店でもみらいエコ住宅2026事業の補助金は使えますか?
みらいエコ住宅事業者として登録した会社であれば、規模に関係なく補助の対象になります。GX志向型住宅は、GXへの協力表明をした事業者が建てる住宅に限られます。登録の有無は公式サイトの事業者検索か、会社への直接の問い合わせで確認します。
建設業の許可はどこで確認できますか?
国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで、会社名から許可番号・有効期間・許可業種を確認できます。財務諸表などの決算書類は、許可行政庁の閲覧所で閲覧できます。

まとめ

参考情報・データの出典