家づくりの打ち合わせでは、「耐震等級3が標準です」「等級3相当です」といった説明をよく聞きます。等級の数字が何を意味するのか、2と3で何が変わるのかは、住宅性能表示制度の資料を読むと整理できます。

このページでは、国土交通省の住宅性能表示制度のガイド、損害保険料率算出機構の地震保険基準料率、住宅金融支援機構と国税庁の公式ページだけを材料に、等級ごとの定義、地震保険の割引、長期優良住宅・フラット35S・贈与税の非課税で求められる等級、評価書の取り方をまとめます。

先に結論

耐震等級1は建築基準法と同じ水準、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の地震の力に対して倒壊・崩壊しない程度を示します(住宅性能表示制度の評価方法基準)。地震保険の耐震等級割引は等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%です。

等級2以上なら、長期優良住宅の耐震の基準、フラット35Sの金利Bプラン、贈与税の非課税1,000万円枠(省エネ等住宅)の耐震の要件を満たします。等級3ならフラット35Sの金利Aプランにも届きます。どの制度も、住宅性能評価書などの書類で等級を示すことが前提です。「等級3相当」で書類がない場合、地震保険は等級割引ではなく建築年割引(10%)になります。

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耐震等級1・2・3の定義と建築基準法との関係

耐震等級は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)にもとづく住宅性能表示制度の項目です。制度は2000年に始まり、国が定めた共通の基準で、第三者の登録住宅性能評価機関が住宅の性能を評価します。評価を受けるときは「構造の安定」が必須項目で、その中の「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」が、一般に「耐震等級」と呼ばれているものです。

等級評価方法基準の定義(倒壊等防止)位置づけ
等級3極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度制度の最高等級
等級2同じ地震による力の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度長期優良住宅などの基準になる水準
等級1極めて稀に発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)に対して倒壊、崩壊等しない程度建築基準法と同じ水準

国土交通省の「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」は、倒壊等防止を「数百年に一回は起こりうる大きさの力に対して、損傷は受けても人命が損なわれるような壊れ方をしないこと」と説明しています。建築基準法の基準に適合していて、それを大きく上回らない住宅は等級1です。建築基準法の基準を下回る住宅には、評価書は交付されません。

構造の項目には「耐震等級(構造躯体の損傷防止)」もあります。こちらは数十年に一度程度の地震の力(等級2は1.25倍、等級3は1.5倍)に対して、大規模な修復工事が必要になるほどの損傷を生じない程度を示します。免震建築物と確認された住宅は、この2つの等級は評価せず「免震建築物」と表示されます。

📌 耐震等級が示さないこと

耐震等級は、柱・梁・壁・基礎などの構造躯体の強さの評価です。ガイドには、地すべりなど地盤災害の危険性は扱わないこと、評価は完成時点のもので経年変化は考慮していないことが書かれています。土地の災害リスクは、市区町村のハザードマップで別に確認します。

建築基準法の側でも変更がありました。2025年4月施行の改正で、都市計画区域などの中では、平家かつ延べ面積200㎡以下の建築物を除き、構造によらず構造規定などの審査が必要になりました(いわゆる4号特例の見直し)。これまで審査が省略されていた木造2階建ての住宅も、建築確認で構造の基準への適合を審査されます。

地震保険の割引は等級2で30%、等級3で50%

地震保険の保険料は、損害保険料率算出機構(損保料率機構)が算出する基準料率で決まります。同機構によると、会員の保険会社はすべてこの基準料率を使っています。建物の耐震性能による割引は4種類あり、重複しては使えません(いずれか1つ)。

割引の種類割引率対象確認書類の例
免震建築物割引50%品確法の免震建築物住宅性能評価書 など
耐震等級割引等級1: 10%
等級2: 30%
等級3: 50%
耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有する建物住宅性能評価書、耐震性能評価書 など
耐震診断割引10%耐震診断・耐震改修で現行の耐震基準を満たす建物耐震基準適合証明書 など
建築年割引10%1981年6月1日以後に新築された建物建物登記簿 など

新築の注文住宅は、登記簿などで建築年割引(10%)を受けられます。そのため、等級1の評価書を取っても割引率は10%のままで、差が出るのは等級2(30%)と等級3(50%)です。

割引の差を金額にすると次のとおりです。前提は、東京都、建物の地震保険金額1,000万円(火災保険2,000万円の50%)、保険期間1年、家財は含めません。計算式は保険金額÷1,000×基本料率×(1−割引率)です。基本料率は損保料率機構の表で東京都のイ構造2.75円、ロ構造4.11円(保険金額1,000円あたり)です。割引後の料率は、同機構の計算例にならって小数第2位で四捨五入しています。

適用する割引ロ構造(イ構造以外)イ構造(耐火・準耐火)
割引なし41,100円27,500円
建築年割引・等級1(10%)37,000円24,800円
等級2(30%)28,800円19,300円
等級3・免震(50%)20,600円13,800円

建築年割引と比べた差は、ロ構造で等級2が年8,200円、等級3が年16,400円です。料率と保険金額が変わらないと仮定して10年続けると、等級3との差は単純合計で16万4,000円になります(2〜5年の長期契約の係数は考えていません)。イ構造は耐火性能・準耐火性能をもつ建物、ロ構造はそれ以外の建物です。木造でもイ構造にあたる場合があるので、区分は保険会社に確認してください。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲(建物は5,000万円まで)で決めます。

📌 長期優良住宅の認定書類だけでは30%

日本損害保険協会の地震保険特設サイトは、耐震等級割引の確認資料として、登録住宅性能評価機関が作成した等級の証明書類、住宅金融支援機構の技術基準に適合していることを示す適合証明書、長期優良住宅の認定通知書などと設計内容説明書など耐震等級がわかる書類、を挙げています。認定通知書などだけを出した場合、新築は30%の割引です。等級3で50%を受けるには、等級が書かれた書類もそろえます。

長期優良住宅・フラット35S・贈与税の非課税で求められる等級

耐震等級は、地震保険のほかに、住宅の認定や住宅ローン、税の特例の条件にも使われています。新築の場合の耐震の基準を並べると次のとおりです。

制度耐震の基準耐震以外で満たせるか主な効果
長期優良住宅耐震等級(倒壊等防止)2以上。ほかに等級1で層間変形などの条件を満たす場合、免震建築物不可。劣化対策・省エネなども全部必要住宅ローン控除の限度額4,500万円(子育て世帯等5,000万円)、固定資産税の減額5年 など
フラット35S 金利Aプラン耐震等級3、または免震建築物可(断熱等級5かつ一次エネ等級6、長期優良住宅など)当初5年間 年0.5%引下げ
フラット35S 金利Bプラン耐震等級2以上可(一次エネ等級6、断熱等級5など)当初5年間 年0.25%引下げ
贈与税の非課税(省エネ等住宅)耐震等級2以上、または免震建築物可(断熱等級5かつ一次エネ等級6、高齢者等配慮対策等級3以上)非課税枠1,000万円(その他の住宅は500万円)
地震保険等級1〜3―10%・30%・50%割引

長期優良住宅について、国土交通省のページに掲載されている新築版パンフレット(住宅性能評価・表示協会の発行、令和8年4月1日現在の法令にもとづく版)は、耐震性の基準を「耐震等級(倒壊等防止)等級2」などと示しています。耐震のほかに、劣化対策等級3、断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6、維持管理対策等級3、一戸建てで住戸面積75㎡以上などをすべて満たし、着工前に所管行政庁へ申請します。流れは長期優良住宅の記事で解説しています。

【フラット35】Sは、耐震性・省エネルギー性・バリアフリー性・耐久性可変性のうち、いずれか1つの基準を満たせば使えます。住宅金融支援機構の試算例(借入3,000万円・35年・元利均等・金利年2.50%)では、フラット35と比べた総返済額の差は金利Aプランで約83万円、金利Bプランで約41万円です。基準への適合は、検査機関の設計検査・現場検査で確認します。予算に達すると受付が終わること、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内などの新築は対象外であることにも注意してください(フラット35Sの解説)。

贈与税の非課税は、令和8年(2026年)12月31日までの父母・祖父母からの贈与が対象です。新築の省エネ等住宅は、省エネ・耐震・バリアフリーのいずれか1つの基準を満たせばよく、耐震なら等級2以上か免震建築物です。断熱等級5・一次エネ等級6に届かない家でも、耐震等級2以上を書類で証明できれば1,000万円枠を使えます(贈与税の非課税の条件)。省エネの区分ごとに受けられる補助金・減税は、性能区分の比較表にまとめています。

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同じ「等級3」でも、評価書を取るか、その費用が見積もりに入っているかは会社によって違います。タウンライフ家づくりは、希望条件に「耐震等級3・住宅性能評価書あり」と書くと、選んだ会社から間取りプランと資金計画が無料で届きます。依頼後に各社から連絡が来るので、依頼先は比べたい会社に絞っておくと対応しやすくなります。

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「耐震等級3」と「耐震等級3相当」の違い

住宅会社の説明には、「耐震等級3」と「耐震等級3相当」の2つの書き方があります。一般に「相当」は、会社が自社で計算して等級3の水準にあると説明しているもので、登録住宅性能評価機関の評価書が出ているとは限りません。

地震保険の等級割引、長期優良住宅の認定、フラット35S、贈与税の非課税は、どれも書類で等級を示せることが条件です。評価書などがなければ、設計上の強さが同じでも制度上は等級の証明がない扱いになり、地震保険は建築年割引(10%)になります。

会社公式サイトの耐震等級の表記(2026年10月10日確認)
一条工務店全商品タイプ・全建物で耐震等級3を標準仕様とする旨の表記
三井ホーム最高等級の耐震等級3が標準(住宅性能表示制度における耐震等級、と注記)
タマホーム大安心の家で耐震等級3。プランや仕様によって等級が変わる場合がある旨の注記
アイ工務店耐震等級3が標準と表記(本文には「耐震等級3相当」の語もある)。プランによって最高等級にならない場合がある旨の注記
ユニバーサルホーム住宅性能評価を受けない場合は「耐震等級3相当(当社基準)」の趣旨になる、と注記

「標準」と書かれていても、プランや地域で等級が変わる注記がある会社は少なくありません。評価書を取るかどうかも、公式サイトの表記だけでは分からないことが多いです。契約前に次の3点を聞いておくと、制度に使えるかを判断できます。

各社の構造・耐震・断熱の公式表記はハウスメーカー一覧で並べて確認できます。

耐震等級の証明の取り方(住宅性能評価書)

耐震等級を示す書類の基本は、登録住宅性能評価機関が交付する住宅性能評価書です。設計図書の段階の評価結果をまとめた設計住宅性能評価書と、施工段階と完成段階の検査を経た建設住宅性能評価書の2種類があります。評価の料金は、評価機関ごとに独自に決められています。

  1. 契約前: 評価書を取るかを決める

    見積書に住宅性能評価の申請費用が入っているかを確認します。申請の手続きは、一般に施工会社や設計者が代行します。

  2. 設計段階: 設計住宅性能評価を受ける

    図面と計算で等級を評価し、設計住宅性能評価書が交付されます。長期優良住宅の基準(長期使用構造等)への適合を確認した結果が評価書に記載されていれば、その評価書(または評価機関の確認書)を添えて、所管行政庁に長期優良住宅の認定を申請できます。

  3. 着工前: 建設評価・長期優良・フラット35Sの手続きをそろえる

    建設住宅性能評価は工事中の検査を受けるので、着工前に申し込んでおきます。長期優良住宅の認定申請も着工前です。フラット35Sは検査機関の設計検査を受けます。

  4. 工事中・完成時: 現場検査を受ける

    3階建て以下の住宅は、原則として4回、評価機関が現場に立ち入って検査します。建築基準法の完了検査で検査済証を受けていない住宅には、建設住宅性能評価書は交付されません。

  5. 引渡し後: 書類を各制度に出す

    地震保険は、保険会社や代理店に評価書の写しなどを出します。贈与税の非課税は、贈与の翌年2月1日から3月15日の申告で、住宅性能証明書、建設住宅性能評価書の写し、長期優良住宅の認定通知書の写しと住宅用家屋証明書(または認定長期優良住宅建築証明書)などのいずれかを添付します(国税庁の令和7年分チェックシート。2026年中の贈与に使う令和8年分は、公表後に最新版で確認します)。

建設住宅性能評価書を取った住宅は、トラブルのときに指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)へ紛争処理を申請できます。申請手数料は1件1万円です。また、評価書やその写しを請負契約書に添付すると、契約書で否定しない限り、評価書の内容を契約したものとみなされます。

📌 設計評価だけで足りるか

贈与税の非課税の添付書類は、住宅性能評価書のうち「建設住宅性能評価書の写し」です。設計評価だけで終えると、制度によっては使えない場合があります。複数の制度に使うなら、建設評価まで取っておくと書類をそろえやすくなります。

等級2と等級3の選び方

制度の面で比べると、等級2と等級3の差は、フラット35Sの金利Aプラン(耐震で届くのは等級3)と、地震保険の割引率(30%か50%か)です。長期優良住宅の耐震の基準、贈与税の1,000万円枠、フラット35Sの金利Bプランは、等級2で満たせます。

項目等級1等級2等級3
想定する地震の力建築基準法の水準1.25倍1.5倍
地震保険の割引10%(建築年割引と同じ)30%50%
長期優良住宅の耐震の基準層間変形などの条件つき満たす満たす
フラット35S(耐震の基準)対象外金利Bプラン金利Aプラン
贈与税の省エネ等住宅(耐震の基準)対象外満たす満たす

一方で、一般に等級を上げるほど耐力壁や金物が増え、大きな窓、吹き抜け、広い一室空間の取り方に制約が出やすくなります。同じ間取りのまま等級3にできるか、できない場合にどこを変えるかは、会社によって提案が違います。

比べるときは、依頼先に「耐震等級3・住宅性能評価書あり」を条件として伝え、等級2との見積もりの差も出してもらうと判断しやすくなります。届いた見積もりの総額は、同じ条件で総額シミュレーターに入れ直すと比べられます。長期優良住宅にした場合の住宅ローン控除の違いはローン控除シミュレーターで試算できます。

よくある質問

耐震等級3と耐震等級2の違いは何ですか?
住宅性能表示制度の評価方法基準では、等級2は極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍、等級3は1.5倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度と定められています。制度の上では、フラット35Sの金利Aプラン(等級3)と、地震保険の割引率(等級2は30%、等級3は50%)に差が出ます。
耐震等級1は建築基準法ぎりぎりということですか?
等級1は、建築基準法の基準に適合し、それを大きく上回らない住宅に付く等級です。建築基準法を満たさない住宅には評価書が交付されないので、等級1でも建築基準法の水準は満たしています。等級2・3は、同じ地震の力の1.25倍・1.5倍に対応する設計であることを示します。
「耐震等級3相当」でも地震保険の割引は受けられますか?
耐震等級割引は、住宅性能評価書や耐震性能評価書などの書類で等級を確認できた場合に限られます(損害保険料率算出機構の基準料率表)。書類がない場合、新築なら建築年割引(10%)の対象になります。
長期優良住宅なら地震保険は50%割引になりますか?
日本損害保険協会の案内では、長期優良住宅の認定通知書などだけを出した場合、新築は30%の割引です。設計内容説明書など耐震等級がわかる書類もあわせて出し、等級3と確認できれば50%の割引になります。
住宅性能評価はいつ申し込めばいいですか?
建設住宅性能評価は工事中の現場検査(3階建て以下は原則4回)を受けるため、着工前に申し込んでおきます。長期優良住宅の認定も着工前の申請です。契約前に、評価書を取るか、費用が見積もりに入っているかを確認してください。

まとめ

参考情報・データの出典